副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
副社長室に戻った誠は、莉乃の机に向かうと静かに言葉を発した。
「無事終わったよ。ありがとう」
「……よかったです。お疲れさまでした」
莉乃は心底安心した、ほっとした表情をして頭を下げた。
「……水川さん、今日夕飯でもどう?お礼に」
莉乃は副社長からの誘いか、誠からの誘いかわからず困惑した。
「今日は……ちょっと」
その言葉に、誠はそれ以上言うのを諦めて小さく答えた。
「分かった」
誠の傷ついたような表情を見て、莉乃の心は動揺した。
(なんで、そんな顔するのよ……誠にはほかにたくさん女がいるじゃない……)
莉乃はその誠の表情が頭から離れず、気持ちの沈んだまま仕事をしていた。
(早く帰りたい……)
そんな莉乃の思いとは裏腹に、その日に限って仕事や来客が立て込みあっという間に21時を回っていた。
(もうこんな時間……誠が戻ってくる前に帰らないと……)
誠も常務の後処理や、他の役員の選出などが立て込み、会議から戻ってきていなかった。
(まずい!必ず早く帰るように言われてたのに。戻ってきてしまったら、確実に送るって言われる……それは避けないと!)
慌てて荷物を纏めると、副社長室を後にした。
莉乃は、人もまばらなエントランスを足早にでた。
「莉乃」
その昔聞き慣れたその声に、莉乃は背筋が凍った。
そして動けなくなった。
「い……や……」
声になっていたかも自分では分からなかった。
「やっと一人になったね」
その手には刃物が光っていた。
「無事終わったよ。ありがとう」
「……よかったです。お疲れさまでした」
莉乃は心底安心した、ほっとした表情をして頭を下げた。
「……水川さん、今日夕飯でもどう?お礼に」
莉乃は副社長からの誘いか、誠からの誘いかわからず困惑した。
「今日は……ちょっと」
その言葉に、誠はそれ以上言うのを諦めて小さく答えた。
「分かった」
誠の傷ついたような表情を見て、莉乃の心は動揺した。
(なんで、そんな顔するのよ……誠にはほかにたくさん女がいるじゃない……)
莉乃はその誠の表情が頭から離れず、気持ちの沈んだまま仕事をしていた。
(早く帰りたい……)
そんな莉乃の思いとは裏腹に、その日に限って仕事や来客が立て込みあっという間に21時を回っていた。
(もうこんな時間……誠が戻ってくる前に帰らないと……)
誠も常務の後処理や、他の役員の選出などが立て込み、会議から戻ってきていなかった。
(まずい!必ず早く帰るように言われてたのに。戻ってきてしまったら、確実に送るって言われる……それは避けないと!)
慌てて荷物を纏めると、副社長室を後にした。
莉乃は、人もまばらなエントランスを足早にでた。
「莉乃」
その昔聞き慣れたその声に、莉乃は背筋が凍った。
そして動けなくなった。
「い……や……」
声になっていたかも自分では分からなかった。
「やっと一人になったね」
その手には刃物が光っていた。