副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「莉乃がそれでいいのなら。よろしくお願いします」
莉乃の父は改めて頭を下げた所に、ドアの開く音がして二人はその方向を見た。

「莉乃、すべて終わったか?」
母と一緒にでてきた莉乃に、父はゆっくりと微笑みを浮かべた。
「うん」
少し落ち着きを取り戻したように見える莉乃に、誠も安堵した。

「どうする?今日は実家に帰る?」
母の言葉に莉乃は頭を振ると、

「明日も、仕事があるから」

「仕事は無理するな。実家の方が安心するなら、明日は有休を使っていいから」
莉乃の言葉に、誠は莉乃に言葉を書けたが、莉乃はまた小さく首を振った。

「大丈夫です。もう逮捕されたなら怖いものはないですし」
莉乃の言葉に、母は心配そうな表情を向けた。
「無理しなくていいのよ」

そんなやり取りに、莉乃の父が言葉をはさんだ。
「莉乃、長谷川さんからの提案で、全面的に協力していただけるそうだから、あの男をきちんと裁いてもらおう」

莉乃は驚いた顔をして誠を見上げた。誠が頷くと、
「ありがとうございます」
莉乃はすこしほっとした表情を見せた。

24時を回り、4人は警察を後した。
「莉乃、お父さん明日仕事があるからこのまま帰るけど、本当に大丈夫か?」
「大丈夫よ」
莉乃は笑顔を作ると小さく手を振った。

「お母さんだけ残ろうか?」

「何もなかったんだから、本当に大丈夫だから。心配しないで。遠いんだから気を付けて帰って」
莉乃の言葉にに父はチラリと誠を見た。そんな莉乃の父の目線の意味を悟り、誠はゆっくりと頷いた。

父は誠に頭を下げ「長谷川さん、莉乃をよろしくお願いします」そう言うと、車に乗り込み母とともに帰って行った。
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