副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
しばらくして、ノックと共に「長谷川です」という声がした。

莉乃は、ドアを開けると、
「ありがとうございます」
長谷川に頭を下げた後、間宮という女性を見た。

いかにも副社長の彼女というその人を、奥のソファセットに案内していつも踊りの秘書の顔で対応した。

「副社長は、まだ会議からお戻りにはなってないので、もう少々お待ちいただけますか?」

「わかったわ」
間宮はそう言うと、ソファに座ると短いスカートから出た足をゆっくりとくみ上げた。

「ねえ、あなたは、誠の女じゃないわよね」
余りにも唐突な質問に、莉乃は内心唖然としつつも、

「はい。秘書です」
間宮は莉乃を、頭の先から足の先まで見ると、
「そのようね」
ときれいにリップの塗られた唇の口角を上げた。

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