副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

「この女に、気安く触るなっていってるんだよ。聞こえないのか？どけ」
誠はゆっくりともう一度、低い声で繰り返した。
その迫力に男たちは慌てて消えて行った。

「ま……ことどうして？」
莉乃は驚いて聞いた。
その後ろにいた弘樹をみて、慌てて香織を見た。
香織は少し戸惑った顔をして莉乃に微笑んだ。

「莉乃、今の男と一緒にいたかったのか？」
誠の低い声に莉乃は慌てて首を振った。
「じゃあ、行くぞ」
「え……ちょっと！誠！」
誠に少し引きずられるように、手を引かれ莉乃は店から外に出た。

スカートの裾がふわりと揺れた。

強引に車に乗せられると、しばらく言葉もなく車は走っていた。
エンジン音と、微かに聞こえるＦＭラジオの昔の曲だけが流れていた。