副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「きちんと、蹴りを付けて、ゆっくりと莉乃と向き合っていこうそう思ってたのに……我慢できず手を出した。それで俺から離れて行ったんだろ?」
誠は仕方ないという顔をした。
「でも、ゆっくり信じてもらおうと思ったけど、莉乃がさっきみたいに離れていくのはもう耐えられない」
そこまで言ったところで、莉乃の人差し指が誠の唇に当てられた。
「待って。確認させて」
莉乃は静かに言った。
「なんで、他の人と別れたの?」
誠は莉乃の言葉の意味を考えた。
「私の欲しい言葉は、チャンスなんかじゃないよ」
莉乃はそっと人差し指を離した。
誠は、息を吐くと、
「莉乃が好きだ。莉乃だけが。頼むこれからの時間をかけて、莉乃に俺の事を信じてもらえるように……莉乃に俺の事を好きになってもらえるように努力するから……。だからもう一度チャンスが欲しい。初めてなんだ。こんなに大切にしたいと思ったのも、こんなに苦しいのも、こんなに一緒にいたいと思うのも……こんな俺が人を好きになれるなんて思ってなかったんだ。だから……もう一度俺と一緒にいて。離れていくな」
懇願するように一気に言った後、誠は俯いてギュッと唇を噛んだ。