副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
家に帰り、いつものようにシャワーを浴び、簡単にパスタを作り赤ワインをグラスに入れた。
パスタを食べ終わり、赤ワインを飲みながら、株価のチェックをしていると、電話が鳴った。

【 着信 香織  】 

「もしもし?」

「莉乃、今週の土日暇?」

「大丈夫だけど、どうしたの?」

「こないだ話してた、行けなかった方のテーマパーク行かない?4人で。誠さんには弘樹君が聞いてる」

莉乃はすぐに返事ができず、言葉に詰まった。

「……誠がOKなら行くよ」

『了解』
クスリと電話の向こうで笑ったような気がして、莉乃は香織に尋ねた。

「…香織、なんか気を使ったでしょ?」

『なんかさ、こないだ飲んだ時、前より莉乃は誠さんに遠慮しているように見えたから。付き合うとなるとなんか構えてない?』

「付き合うってなんだったけ?って急に考えちゃって。どこまで我がまま言ってよくて、どこからがダメなのか…とか急に考えちゃって……それに……」

『それに?』

「なんか、誠って女慣れしてて、綺麗な大人の人ばっかりと付き合ってったじゃない。それに引き換え、私って、恋愛経験少ないうえに、トラウマ持ちで…。私なんかが、誠に釣り合うのかって不安になっちゃた」

『エッチしたりするのも怖いんだ?』

「怖くはないと思う。けど……不安はある。経験値が極端に少ないし、やっぱり自分がどうなるかも予想付かない。呆れられたらどうしようって思っちゃう」

『ねえ、莉乃。誠さんってそんな人なの?』

香織は、諭すように声を掛けた。

「え……?」
『莉乃が好きになった誠さんは、そんな事で離れるような人なの?そんな人なら、莉乃の方から別れな』

「そうだね香織……ありがとう」
『うんじゃあまた連絡する』

「分かったよ」


そのやり取りをすると、莉乃は携帯を置いた。
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