副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
しかし、ファスナーをすぐには上げず、誠は莉乃の白い肌にそっとふれた。
莉乃は、ゾクっとし、誠の顔を見あげた。
「莉乃……」
誠は莉乃を呼ぶと、開いた背中から首筋に唇を寄せた。

「ま……まこ……と?」
ただでさえ、着替えを見られて恥ずかしい所に、急にされた初めての場所へのキスに、莉乃の心臓は壊れそうなほど大きく音を立てた。

(こんなことで驚いてるから、子供って思われるんだよ!)
ギュッと目を閉じて、体をこわばらせた莉乃に気づき、誠はすっと手と唇を離した。

「悪い……。つい綺麗だったから」

「こっちこそ。嫌って訳……じゃ……無いから……。」
なんとか誤解されないように、消え入るように言った莉乃の言葉に、誠は驚いたように莉乃の顔を覗き込んだ。
恥ずかしそうに微笑む莉乃に、キスをそっと落とすと、

「それなら、よかった」
誠はそういうと、ファスナーをあげた。


「俺も、シャワー浴びて着替えるよ」
誠はそう言うと、バスルームに消えた。

誠はさっきとは違い、黒のパンツに薄手のグレーのジャケット姿で戻ってくると、
「準備できたら、行こうか?」
誠は莉乃を見て言った。

「うん」
莉乃も柔らかな笑顔を見せた。

「莉乃、よく似合ってるな」
莉乃は少し頬が熱くなるのを感じ、
「ありがと。なんか照れるね……」


誠は抱きしめそうになるのをなんとか抑えると、
「行こうか?」
そう言うと莉乃を連れ立って、レストランへと向かった。
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