副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
莉乃はリビングからバルコニーに出ると、ライトアップされたパークを見た。
「莉乃、もう少し飲もうか?」
ルームサービスのメニューを持って誠も莉乃の隣に来ると、莉乃に微笑んだ。
「そうだね」
莉乃を微笑みを浮かべ、誠を見たが、内心は落ち着かなかった。

(うん、もう少し飲まないと、勇気が出ないかも……。誠は大人だから、こんないつまでも何もできないなんて、嫌われちゃうよね……)

莉乃は、今までの誠の女の人との付き合いを知っているだけに、不安で仕方がなかった。

「じゃあ、頼んでくるな。莉乃、先に風呂入ってもいいよ」
誠は笑顔で電話に向かった。

「うん、じゃあ、お湯いれてくるね」
莉乃はなんとか平静を装って言葉を発すると、バスルームに逃げ込みズルズルと座り込んだ。

(やばいな…。経験値が無さすぎる。元カレなんて、おままごとだったかも。誠は……大人すぎるよ……)

莉乃は大きく息を吐くと、立ち上がりお風呂を覗いた。
さすがスィートだけあり、大きなジャグジーの付いた浴槽で周りには、バラの花びら、入浴剤、バブルバスなどが置いてあった。

(どれにしよう?誠に聞く?いや、聞くのも恥ずかしいな……)

莉乃は迷ってバラの花びらとバラの入浴剤を入れた。
たちまち、バラのいい香りがバスルーム中に広がった。

お湯が入るまでリビングに戻ると、ルームサービスのシャンパンとおつまみが置いてあった。

「乾杯しよっか。何にかわからないけどな」
誠のいたずらっぽく笑った表情にさえ、ドキンと胸が音を立て、莉乃は誠の顔を見られずソファーに座った。
誠はシャンパングラスにゆっくりと注ぐと、一つを莉乃に渡し、自分も莉乃の横に座った。


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