副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「あっ、そういえばね。お風呂ねバラの花びらとかあったし、広いしすごかったよ。いい香りがするの」
莉乃は何かを離さないとと、少し早口に誠へと話しかけた。

「そうなんだ。後で見てみるよ。」
そんな莉乃の気持ちを知ってかしらずか、誠はゆっくりとシャンパングラスを手に持つとクスリと笑った。

「うん、見てみて」

(誠はやっぱり余裕があるよね……)

莉乃は少し強張ってしまったような気がしたが、なんとか笑顔を向けると誠に答えた。

「莉乃、楽しい?」
誠に覗き込まれるようにジッと見つめられて、莉乃は頷いた。

「うん、本当に夢みたいだよ。ありがと」
「なら、よかった」
誠は視線を戻すとシャンパンをグラスに注いだ。

「莉乃、その風呂先入ってきたら?」
誠は立ち上がると言った。

「…うん」

「その前に、噂の風呂見てくるよ」
誠はそういうと、バスルームに入って行った。
誠の姿が見えなくなると、莉乃は息を整えるように何度か息を吸った。

そこへ気配がして、莉乃はリビングの扉へと目を向けた。
「ホントだな。いい香りがする。」誠は笑った。
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