副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そこまで言うと、誠は莉乃の肩にそっと手を置き、莉乃の瞳を見つめた。

「触れていい?」
誠はゆっくりと聞いた。

莉乃はその瞳を見て、言いようのない感情が湧いて小さく頷いた。

そんな莉乃を見て、誠はそっと莉乃の唇に手を触れると優しく微笑んだ。

それだけで、ビリっとした甘いしびれを莉乃は感じてドキンドキンと心臓の音が聞こえた。


誠はその手を首筋から、頭の後ろに回すとそっと莉乃を引き寄せ、優しく莉乃の唇にキスを落とすと、

「本当に怖くなったらいつでもやめるから……。絶対に言えよ」
誠は唇を少し離し、命令口調で莉乃の瞳を見つめると言った。
すぐにでも唇がふれる距離で、発せられた言葉に莉乃はただ頷いた。

「バラのいい香りがするな」
誠は首筋に顔を埋めると呟いた。

自分自身で触れて欲しいと思った莉乃だったが、不安で押しつぶされそうだった。

そんな莉乃を誠は組み敷くことはせず、莉乃を抱きしめたまま眠るように横になった。
しばらく、そのまま莉乃を抱きしめていた。

「大丈夫?」
誠の優し声に莉乃はだんだんと落ち着いていくのが解り微笑んだ。

「怖くない?」
誠の心配そうな瞳に、自分だけが緊張している訳じゃない事に気づき、莉乃はそっと誠の頬を指で触れた。

「あのね……前の事を思い出すとか、怖いとかそういうのは無いの。ただ、誠みたいに経験がないから……どうしていいのか……私でいいのかなって……」
莉乃の正直な言葉に、誠はびっくりした顔の後ふわりと笑った。

「よかった。俺が怖くないなら、莉乃は何もしなくていいから俺に預けて?俺の事だけ考えて。大事に抱くから」
そういうと、そっと莉乃を上から覗き込むとキスを落とした。

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