副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
何度も繰り返される優しいキスは、少しずつ熱を帯びて行った。

「莉乃……口開けて」
繰り返される合間に、発せられた言葉と、誠の舌でなぞられた唇にゾクリとした感覚に莉乃はカッと恥ずかしくなった。
「莉乃」
優しく笑いながら名前を呼ばれ、莉乃はそっと口を開けた。
誠の舌がゆっくりと口内に侵入すると、莉乃の舌を絡めとった。
「……んっ……ふっ……」
漏れる声と共に莉乃もだんだんと羞恥より、高揚感が勝ってきた。
「ま……こと……」
誠の首に腕を回し誠に抱きついた。


「服脱がすよ。大丈夫?」
きちんと莉乃の反応と、同意を求めてくれる誠の優しさに、

「誠……私は大丈夫だから。誠のしたいようにして……」
「ツっ!お前な……優しくしようとしてるんだから……煽るな……莉乃好きだよ。俺だけを見てろ……」
真正面から莉乃の瞳を見つめて言うと、莉乃の首筋に唇をつけた。

ゆっくりと、バスローブに手をかけ、莉乃の肌に直に触れた。

「莉乃……きれいだ……」
誠の言葉に、莉乃はハッとして、腰に手を当てた。
「……どうした?」
「ここ……傷が。気持ち悪い……見ないで」
莉乃の言葉に、ゆっくりとバスローブを脱がし莉乃の手を退かした。
そこを誠はジッと見つめた。

「見ないで……」
涙声で目を腕で覆った莉乃の手をそっと誠は外し、手をギュッと握ると、そっとその傷に唇を近づけ、ゆっくりと傷に唇をつけた。
「莉乃が生きてここにいてくれてよかった……」

誠はそう言うと、傷に何度かキスを落とした後、莉乃を力いっぱい抱きしめた。

「莉乃と出会えてよかった……」


誠の大きく優しい手と唇が莉乃の囚われていた記憶を消し去って行く。
優しく何度も上下する誠の唇と手の熱さ、体をなぞるたびに触れる誠の髪。

その優しさに莉乃の瞳から涙が零れ、漏れる自分の声が恥ずかしくて手で口を覆った。

誠は優しく微笑み、そっとその手を退かすと、
「もっと、声聞かせて……」
そう言うと、涙に優しくキスを落とすと、莉乃に深く体を埋めた。

「誠……まこ……と」
うわごとのように名前を呼ぶ莉乃をしっかり抱きしめると、

「莉乃……ずっと一緒に……」

その言葉と同時に、誠は更に深く莉乃を抱きしめキスをした。
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