副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「どうしても、元気がないってなるんですね……」
莉乃は諦めたような表情を見せると、千堂を見た。

「だって…本当の事だろ?」
千堂の真面目な瞳に、莉乃は唇をギュッと噛み締めた。

「はい。ちょっと落ち込む事があって。でもなんか元気でました」
莉乃は千堂に笑顔を向け、ぺこりと頭を下げた。

「その内容は聞かない方がいい事かな?」
ジッと千堂に見つめられて、どうこたえて言いかわからずにいた所に、莉乃の携帯が鳴った。

【着信 長谷川 誠 】

(仕事?プライベート?)

莉乃はわからず、千堂の前で出ることもできず、しばらくディスプレイを眺めていると着信音は止まった。

「電話してきていいよ」

「大丈夫です。メールだけ入れときます。」

【社長の接待帰りでまだ外にいるよ。出張終わった?】

すぐに返信を知らす音が鳴り、莉乃は目を走らせた。

【終わったよ。あまり遅くなるなよ。千堂だろ?】

【断りきれなくて】

【わかってるよ】

それだけやり取りをすると携帯を置いた。
< 214 / 323 >

この作品をシェア

pagetop