副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

「すみません。ごちそうになって。ありがとうございました」
恐縮する莉乃に、

「上司を立ててよ。無理やり誘ったんだし」
千堂は柔らかな笑みを浮かべると、大通りでタクシーを止めると莉乃を促した。

「お疲れ様。彼氏に謝っといて。君との時間を勝手に奪ってしまった事。でも、オレは本気で君が好きだよ。今日みたいに隙を見せると奪いにいくよ」
妖艶な男の雰囲気をまとった千堂に瞳に、莉乃はゾクリとして目を見開いた。

「その表情も隙だらけだ。今ならキスぐらい簡単にできそうだな」
その千堂の言葉に、無意識に手で唇を覆った莉乃を見て、

「あっ、なんか傷ついた。でも、これ以上今日みたいに悲し気な表情をみせてら俺も本気出すからね。肝に銘じてね」
千堂はサラリと莉乃の髪を撫でると、莉乃にタクシー券を渡して莉乃をタクシーに乗せた。

「行ってください」
千堂がそう声をかけた声に莉乃はハッとして、「千堂さん……？」そう呟くもタクシーは走り出した。


（え？今のなに？冗談……だよ……ね？）