副社長には内緒！〜 Secret Love 〜
「今日も社長はお忙しそうですね」
莉乃は役員の簡単な一日のスケジュールに目を通すと千堂に言った。
「そうですね。精力的に動かれる方だから」
千堂も秘書の顔で答えた。

「東洋商事……」
つい声に出して莉乃は呟いていた。

千堂はどうしたという顔をすると、
「東洋商事がどうかしましたか？今日は社長同士の会食です。私も同席しないですが……。でも副社長は呼ばれていましたね」

「え？私の方には予定が入ってないんですが……」
千堂は少し顔を曇らせて、考えるような顔をした後莉乃を見た。
「社長はプライベートで呼んだ……かもしれませんね」

「プライベート……ですか……」
莉乃は動揺を出さないよう何とか務めた。

「あ、今のは忘れてください。わかりませんしね」
しかしその表情を感じ取ったのか、千堂は困ったような顔をした莉乃をじっと見つめた。

「はい」

「水川さんって……」


「はい……？」
千堂は何かを言いたそうだったが、

「なんでもないです。今日も頑張りましょう」
それだけ言うと、千堂はいつも通り微笑んだ。

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