副社長には内緒！〜 Secret Love 〜
（気合を入れたでしょ！あたし！どういう話であれ誠の口から聞くまでは、余計な事は考えない）

大きく息を吐くと、副社長室の扉を開けた。

誠はまだ出社していなかったが、莉乃はいつも通り掃除をし、メールチェックと淡々と仕事をこなしていた。

「おはよう。水川さん」
その声で振り向くといつも通りの誠がいた。

「おはようございます。副社長」

「ごめん、濃い目のコーヒーお願いできる？スケジュールの確認も一緒に」
誠は少し疲れているように見え、莉乃は笑顔を向けた。

「わかりました。すぐお持ちします」
莉乃は、給湯室でコーヒーを入れ副社長室に戻った。

カップを誠のデスクに置くと、今日のスケジュールの確認を始めた。
莉乃の心はざわついていたが、平静を装ってスケジュールを確認した。

最後の予定を確認した後、
「これ以外の追加のご予定はありませんか？」
冷静に自分の気持ちを押し殺して、莉乃は聞いた。

「ありがとう。ないよ」

（ない……か……）

特に表情をを変えることなく答えた誠に、一瞬返事が遅れたが、

「かしこまりました」
莉乃は表情を変えず答えると、
「では、車を用意しておりますので飲み終わり、ご準備できましたらお声がけください」
それだけ何とか伝えると自分のデスクに戻った。

（しっかりしろ。今は仕事）
頭を軽く振ると、今から向かう企業の資料を確認した。
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