副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
莉乃はそのまま夜が明けるのを見ていた。

朝が来ると、いつもの通りの準備をして出社した。

(副社長…もう来てるかな……)

莉乃はいつもと同じように秘書課に行き、コーヒーを落とすと一息ついた。


そして、気持ちを整えた後、副社長室の扉を開け莉乃は自分のデスクにむかった。

その時、副社長の部屋から声が聞こえた。

「きちんと、結婚しますから!」
誠の強い口調とその内容に、莉乃は一瞬で血の気が引くような、心臓が暴れ出す様な動揺を感じた。



「ならいい」
その声と同時に、扉が開き社長の正幸が出てきた。
その後を追うように、誠も姿を現した。
莉乃の頭は真っ白で、とりあえず反射的に頭を下げていた。
誠は莉乃の顔を見ると、一瞬驚いた顔をしたように見えて、更に莉乃はこの場にいた事を後悔した。

「おはよう。水川さん。こないだはありがとう」
声をかけたのは、正幸だった。
正幸は笑顔で言った後、誠を見た。
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