副社長には内緒！〜 Secret Love 〜
「さっぱりした」
そう言いながら、誠は首にブラウンのタオルをかけ、冷蔵庫からビールを出してそのまま半分ぐらい飲んだ。


そしておもむろに、ビールの缶を置くと、キッチンに立つ莉乃を後ろから抱きしめた。

「色々、ごめん」


「何に対して？」

耳元で聞こえた声に、莉乃は表情を変えずに手を動かしながら聞いた。

「見合いの話。知らないと思ってたし、断るんだったら言わない方が余計な心配かけないと思ってたから。でも、最近の感じだと知ってたんだよな？」

誠は抱きしめたまま、莉乃の首筋に顔を埋めると莉乃に尋ねた。

「いろんな人から聞いたよ。自分が思ってるより有名人って認識して」

莉乃は誠の顔を振り返ると真剣な瞳で見た。

「知ってるって確証なかったし」

「そう言う事じゃないでしょ？隠し事は嫌」
そう言うと、莉乃は誠の口に切っていた漬物をポイっと放り込んだ。

「あっ、美味い。これからはきちんと話すよ」

「そうしてね」

少し表情を和らげた莉乃をギュッと誠は抱きしめると、少し安堵したように息を吐いた。
「せっかくのご飯が冷めるな。食べようか」

莉乃をそっと離すと、席についた。
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