副社長には内緒！〜 Secret Love 〜
誠の表情はわからないが、その場の空気が変わったことに莉乃も気づいた。

「よくないよ！でも……」

「でもなんだよ？」
誠は少し声を荒げた。

「怒らないでよ。私だって嫌だったんだから！でも、誠の為には……って必死に理解しようと……」
そこまで言って、莉乃の瞳から涙が溢れた。

誠はそこで初めて莉乃の気持ちを理解し、莉乃を抱きしめた。

「悪い。泣くな……。結婚相手で俺の立場がどうにかなるような仕事をしてないことぐらい莉乃がわかってくれてるだろ？」

胸の中に莉乃を押し込めたまま、誠は続けた。

「俺は莉乃が必要だから。莉乃がいい。わかった？」

莉乃はその言葉に小さく頷いた。

そっと、抱きしめていた腕を緩めると、莉乃の瞳を覗き込んだ。

「なあ、莉乃。これからはもっとお互い思っていることをきちんと話し合おうな。今回だってお互いきちんと話していれば、こんなすれ違いしなくて済んだ」

誠のその言葉に莉乃も、

「ごめんなさい。私もきちんと初めから聞けばよかったね」
莉乃は、コツンと頭を誠の胸に付けると言った。

「もっと、俺の事信用して？」

「うん……」

誠は微笑むと、そっと莉乃にキスを落とした。
莉乃も誠の首に腕を回すと、誠をジッと見つめた。

何度かキスを繰り返した後、
「莉乃、ベッド行こ？」
莉乃は頷くと、２人は寝室へと向かった。

誠はそのまま莉乃を組み敷くと、甘く唇を奪った。

「莉乃、俺はお前だけだから。誰がなんと言おうと、お前が好きだよ」
「うん。私も誠だけだから……」
とろけそうな微笑みを向けた莉乃に、

「もうお前意外見えないよ。あまり煽らないで。余裕がなくなる」

「私はいつも余裕なんてないんだから、誠も余裕なんて持たないで」
莉乃はギュッと誠に抱きつくと、自分からキスをした。

< 231 / 323 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop