副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
これからの未来は?
カラフルな色と楽し気な曲が街に響く。
「誕生日が12月25日ってどんな気分なんだ?」
誠はそんな街をゆっくりと歩きながら、隣にいる莉乃に声を掛けた。
今年はクリスマスイブが土曜日ということもあり、お昼過ぎの東京の街は賑わいを見せていた。
「どうって…。クリスマスと誕生日が一緒で小さい頃は少し損した気分だったな。別だったら2回楽しいじゃない?」
赤と緑が溢れる街を莉乃も楽しそうに見ながら、莉乃は少し考えるように言った。
「確かに。町中はクリスマスに沸いてるもんな」
「そうそう。クリスマスのプレゼントと誕生日プレゼントが一緒だったりしてね。ケーキも1個だったし。食べられないから仕方ないけど」
莉乃は思い出したようにクスクス笑った。
誠はそんな莉乃を見つめると、少し寒そうにした莉乃の手を自分のコートのポケットに入れた。
莉乃は嬉しそうに誠に目を向けると、繋いでいた手をぎゅと握った。
「莉乃、どこか行きたいところないの?」
「うーん、あっ、水族館行きたい。あそこのビルの中ってあったよね?」
「OK。行こうか」
誠は莉乃に笑顔を向けると2人は歩き出した。
莉乃は明日で26歳になる。
誠と付き合いだしてから2度目のクリスマスと誕生日を迎えようとしていた。
(幸せだな)
莉乃は12月の雪が降りそうな空を見上げた。
こんな、安定した気持ちで今年も終われることに幸せを感じていた。