副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
びっくりしたような顔の誠に、
「そんな、驚くことないじゃない」
莉乃は少し不貞腐れたような顔をした後、

(なんか悔しいな……。いつも誠ばっか余裕で。私はいつもされるがまま……)


莉乃は、触れるか触れないかの距離で、ジッと誠を見つめ、もう一度誠にキスをすると、何度かキスを繰り返した。

「どうしたんだ?莉乃」
クスリと笑って莉乃の腰に手を回すと、誠も莉乃のキスに応えた。

(あー!やっぱりこの余裕……。誠にも余裕なくさせたいのに)

なぜか悔しくなり莉乃は自分から、初めて誠の咥内に舌を滑らせ激しく誠の唇を奪った。


「……っん…莉乃!?」
さすがに驚いた声を発した誠に構うことなく、莉乃は、誠の頬を自分の手の平で覆うと更に深く口づけた。

そして莉乃は誠を押し倒し、そっと唇を離すと誠を上から見下ろした。

「少しは大人になったって思ってもらわなきゃ」
月の灯りを背から受け、恍惚とした表情の莉乃は髪をかき上げた。

「莉乃……」
誘惑に負ける寸前の誠が、莉乃へと手を伸ばしたところでチャイムの鳴る音がして、誠はハッとし、体を起こし莉乃を抱き寄せた。

「少し休憩」
そういって部屋をでて行く誠の後ろ姿に莉乃はため息をついた。

(せっかく勇気を出したのに……)

ぼんやりと座ったままでいた莉乃の元に戻ってきた誠は、ワゴンを押していた。

「莉乃、誕生日おめでとう」

「え?」
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