副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
その言葉の意味が解らず、莉乃は誠の顔を見上げた。

「クリスマスと、誕生日は別だろ?」
その言葉に莉乃はワゴンに目を向けると、ろうそくの火がともったケーキがあった。

「こっちもやっぱり、イチゴだけどな」

丸いホールのケーキの上には、
「HAPPY BAIRTHEDAY 莉乃」の文字が躍っていた。

「うそ……ありがとう。嬉しい……」
莉乃は誠のその優しさに、胸がいっぱいになりジッとケーキの文字を見た。


「これを頼んであったのに、初めて莉乃に襲われて焦ったよ」
誠はいたずらっぽい笑顔を見せながら、莉乃をケーキの前はと立たせた。

「莉乃、誕生日おめでとう。ほら、莉乃、ろうそく消して」
誠の言葉に莉乃は頷くと、一気にろうそくを消した。

「一番に言いたかった」

その言葉とともに、布のかかったワゴンの下から大きなバラの花束を出すと莉乃に渡した。

「うそ……。お花まで……嬉しい」
涙ぐみながらバラの花束を抱きしめた。

「まあ、ケーキに薔薇とかベタな演出だけどそのドレスにぴったりだな」
誠はすこし照れながら目を細めると言った。

「誠、ありがとう。素敵なクリスマスと誕生日」


「どういたしまして。それと、もう一つ」
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