副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そう言った誠は少しの間考えるように、言葉を止めた。

真っすぐにただ見つめられ、何も言わないも事に、莉乃は心臓がドキンと跳ね上がった。

「……どうしたの?」

しばらくの沈黙の後、

「莉乃、俺と結婚してくれないか?」


誠の唐突な言葉に莉乃は驚き目を見開いた。

誠はワゴンに置かれていた袋から箱を取り出すと、莉乃の前で開けた。

「指輪はクリスマスより、誕生日かなって」
さっきと同じブランドの箱から、今度は紛れもなくダイヤの指輪が光っていた。

(うそ……)

少し期待をしていて、ピアスだった時点で完全にプロポーズはないと思い込んでいた莉乃は、サプライズの連続にとうとう涙腺が崩壊し涙が溢れた。

「もっとかっこいい事とか、ムードのあることを言いたかったけど、やっぱり俺に言えることは、一生俺のそばにいて欲しい。結婚しよう」

莉乃は、言葉にならず何度も頷いた。

「莉乃、それは返事?」
誠の少し不安げな表情に、莉乃はきちんと言葉にしないとと、大きく息を吐いた。


「私なんかでよければ……よろしくお願います」
それだけを何とか言葉にすると、ギュっと誠に抱き着いた。

しばらく誠も強く莉乃を抱きしめた後、そっと莉乃を離すと、箱から指輪を出した。
その指輪を莉乃の左手の薬指にそっとはめると、莉乃に微笑んだ。
莉乃はその指輪を泣き笑いで見つめた。

「ありがとう。誠」
誠はそっと莉乃を抱きしめると、
「これからも永遠に俺の物」
「誠は私の物だよ」
そう言って二人は笑いあった。

誠は莉乃の涙をキスで拭うと、

「莉乃、もう一度莉乃からキスして?本当はさっき理性が飛びそうだった。でもプロポーズが気になって気が気じゃなかったから」
すこし笑いながら言った誠に、莉乃は真っ赤になった。
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