副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
エピローグ
「あーあ。やっぱり近くにいる人の勝ちってことだよね」
「あの子なら大丈夫だと思ったのに」
昼下がりの社員食堂での話題はその事で持ち切りだった。
女子社員の手には社内報。
社内の情報が書かれているページに視線は注がれていた。
出産報告や進学報告に並び結婚報告がされている。
7月12日挙式
代表取締役副社長 長谷川 誠
秘書課 水川 莉乃
「なんか、盛大な式だったんでしょ?悔しいけどすごくキレイだったって……。水川さん」
「まあ、キレイだよね。普段もキレイじゃない。でもきっと副社長かっこよかっただろうな~」
うっとりとした女子社員に厳しいツッコミが入る。
「もうホントに人の物なんだから諦めるしかないでしょ……」
長い溜息の後、
「あーあ、こうなったらあと狙うのは、新しい常務と秘書課の千堂チームリーダだけ?」
「あ!海外営業部の人もかっこいいらしいよ」
「システムのあの人も」
そんな話が繰り広げられてるとは知らない2人はいつも通りだった。
「副社長、お時間です」
いつも通り、私は表情を変えずに誠を見た。
「ああ、今行く」
ジッと私を見た後、そっと近づいた誠にドキンと胸が音をたてた。
「家に帰るまでは、お前は秘密がいっぱいだな」
ニヤリと笑った誠を見て、私もそっと誠の耳元に顔を近づけた。
「副社長だけが知ってる秘密ですよ」
「秘密を見せるのは、これからも俺だけだ」
どんな私でも愛してくれたあなたに。
変わらない愛を……。
いつまでも、秘密は甘く、密やかに・・・。
End