副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

香織の妊娠が解って、心配のあまり式を延期すると言い出した弘樹さんを、香織がなんとかなだめて当日を迎えた形だった。

「でも綺麗だったよすごく。それに弘樹さんがオロオロしてたのは正直少し笑えた」

「そうなの、どっちが体調が悪いのかわからない写真がいっぱいあるの」
香織は苦笑しつつ莉乃を見た。


「莉乃さん、ちょっと歩く練習しましょうか」


その言葉に、莉乃は立ち上がると改めて鏡の中の自分のドレスを見た。
誠の父がどうしてもと、知り合いのウェディングドレスデザイナーにオーダーしたドレスで、本当であれば、義理の母になるはずの、誠の母が式の準備も手伝うはずだろうが、他界しているからこれぐらいはといってくれた、とても素敵な物だった。

誠もこれは甘えればいいと、一緒にドレスをデザイン画から選んだ。

しかし、誠が出来上がったドレスを着る莉乃を見るのは今日が初めてだ。

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