副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そこへ誠が戻ってきて、ハイボールを一気に流し込んだ。

「ちょ……徹夜明けに大丈夫ですか?何杯目?」
莉乃は眉をひそめて誠の顔色を確認した。

誠は少し酔いもあるのか、
「なあ、ホントはどっちがホントのお前?会社はなんなの?」
莉乃の瞳を覗き込むと、じっと見つめた。


(なんなんだ、この女?)

そんな様子に周りからは、
『見て、すごい美男美女…。何話してるんだろ。』
『うわー、迫力!』

莉乃はその視線を外すように、香織たちに目線を逸らしたが、その外した視線を追うように誠は移動し、
「なあ、どっち?」
なおもじっと莉乃を見た。

そんな誠に、莉乃は諦めたように大きく息を吐くと、
「酔ってるますよね?大丈夫?」
誠は確かに酔いと睡魔を感じていてギュッと目を瞑った。

「大丈夫……」
「帰った方がいいんじゃない?」
莉乃がそういうと、少し考えてから誠は弘樹の方へ歩いて行き、戻ってきた。

「莉乃、行くぞ」
「えっ⁈」
誠は莉乃の手を引くと、混雑する店内をすり抜けて外に出た。

「ちょっと……!!」
莉乃は急に掴まれた手に、驚き振り払いたかったが、誠の力になす術もなく引きずられるように外に出た。

金曜の街は人で溢れかえっており、諦めたように莉乃は誠について行った。

「あの2人の邪魔は……。悪い……急に睡魔が…送れないかも……眠い……」
誠は顔を手で覆うと、歩みを止めた。

(え?なんて言った?この人!やっぱり酔ってるんじゃない!)

「私のことはいいから!寝ないでください!自分の家はどこですか!?」

とりあえずここで眠られたらどうにもならないと思い、莉乃は誠の腕をゆすった。
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