副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「ねえ、香織。今年もチョコレートだけ?」
「え?なんで?」
「婚約中ってなんか少し特別な感じがしない?」
香織は5月に、私は7月に結婚式を控えている。
香織は私の言葉に少し考えるような表情をして、
「ああ、なんかどっちつかずみたいな?言葉が悪いけど」
「そうそう。恋人でも嫁でもない。勇逸の時間」


「それはわかる気がする。一生に一度のバレンタインって事ね」
「そうそう、それ。一生に一度のクリスマスは誠からのサプライズだったから、バレンタインは少し私から攻めたいなって」
その言葉に、香織は目を大きく開けて私を見た。

「どういう意味で攻めるの?セクシーなランジェリーでも買って、私を食べて?みたいな?」
香織はいたずらっぽい笑みを浮かべると、クスリと笑った。
「なんでそうなるのよ……」
「だって攻めるんでしょ?」
「言葉は悪かったけど、思い出に残るように、手料理とかチョコレートとかを作って、そして何か記念に残るものをプレゼントしたいなって。思い出せるように」
「なんだ。私は今莉乃の話を聞いて、その線で攻めようと思ったけどな。うまくチョコレートを作れる気がしないし」
「え?本当に?」
なぜか香織はウキウキとした表情になり、
「ねえ、莉乃!行き先変更!今人気のランジェリーショップね」
妖艶な笑みを浮かべた香織を私はもう止めることができなかった。


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