副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

バレンタイン当日、今日は金曜日。
少し遅くなっても会えればいいなと思っているけど……。

今日の副社長のスケジュールを見て、少しため息が漏れた。

【19：00　会食】

少し前からわかってはいたけど、バレンタインは手作りの料理を作って、一緒にお酒を飲んで……そう思っていた私としては攻める材料が一つ減ってしまい内心すこし残念に思っていた。

「水川さん？水川さん！」
不意に頭上からの声に慌てて顔を上げると、怪訝な表情をした副社長の顔があった。

「すみません！」
仕事ではなくやましい事を考えていたせいか、顔が熱くなるのを感じて、誠の瞳を見れず、パソコンに視線を泳がせた。
「いや……。この資料１５時までにまとめといて」
「ハイ……」

何？今の怖い笑顔。久しぶりに見た……。
副社長スマイル……。

私は背筋が冷たくなるような、わざとらしい笑顔を誠に向けられ内心バクバクしていた。