副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「だって、一生に一度でしょ?婚約中のバレンタイン」
「そうだな。一生に一度だ」
「食べよう?」
「ああ、莉乃ありがとう」
誠から真正面から綺麗な顔で見つめられ、私は頬が熱くなるのを感じた。

「よかった」
赤ワインを手にしながら言った誠の言葉に、私は「えっ?」と誠を見た。
「ちょっと秘書課に寄ったら、牧野が莉乃からチョコレート貰ったって喜んでたから」
「え?なにそれ?」
急に言い出した誠に、私はポカンとして見つめた。

「だから。他の男にも上げてるのと同じものじゃなくよかったってこと。俺だけ特別ってことだろ?」
少し拗ねたように言った誠がかわいくて、つい私はクスクスと笑ってしまった。
「笑うなよ」
怒ったように言った誠に、
「ごめんね。当たり前でしょ?義理と本命を一緒にしないで。それを言うなら私の方だよ。誠が本命チョコいくつもらったかってずっと気にしてたよ」
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