副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そこへコンシェルジュからのインターホンがなり、ふと言葉が途切れた。
「誰だろ?」
私は配達の人が映るモニターを見て、届けてくれるように頼むと、誠に「ちょっといってくるね」と席を立った。

すぐにまたインターホンがなりドアを開けると、目の前にバラの花束が広がった。
「え?」
「お届け物です」
ニコリと笑った女の人にお礼を言って、50本はある深紅のバラの花束を唖然として受け取った。
メッセージカードには「愛を込めて」それだけ書かれており、誰か解らない。
私は困惑したまま、リビングに戻ると、誠が立ち上がり目の前に来た。
「あの、これは……誰からかわからなくて……」

こんな花を送ってくれる男の人がいるなんてわかったら、誠はどう思う?私はさっきまでのドキドキなどどこかに行ってしまい、違う意味でドキドキしていた。
「お花を送ってくれる人なんて、本当に予想もつかないんだよ……」
なぜか泣きたくなってきて、私はバラの花束をギュッと抱きしめた。


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