副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「香織ちゃん!」
二人は、不意に聞こえたその声の方を振り向いた。
そこには高級ドイツ車のSUVから降りてきた弘樹が、にこやかな笑みを浮かべながらこちらに向かってくる途中だった。
そして、すぐ後ろから誠の姿もみえ、莉乃は社外で会う気恥ずかしさに目線を逸らした。
日曜の朝という事もあり、そんなに人はいなかったが、高級車から降りてきたモデルのような男性2人に、周りが一瞬ざわめいた。
「目立つね。莉乃……」
「うん」
誠も弘樹もこないだよりラフな服装で、弘樹は胸元の開いたシャツにカーディガン、誠は、ネイビーのパーカを着ていた。
毎日スーツ姿しか見てない莉乃は、あまりにも会社との印象が違い戸惑いを隠せなかった。
「香織ちゃん、莉乃ちゃんお待たせ。行こうか?乗って!」
弘樹は笑顔で言うと、後部座席のドアを当たり前のように開けると、二人を促した。
莉乃と香織は後ろの席に二人並んで座り、誠も助手席に乗り込むと車は走り出した。
「二人とも、朝ごはん食べた?」
弘樹のその問いに、
「食べましたよ」
香織のその言葉に、同意するように、莉乃も「私も、食べました」と続けた。