副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
こんなの副社長じゃない!
「莉乃?」
その声に、莉乃はぼんやりとその場に立ちすくんでいたことに気づき、慌ててまた歩き出した。
パーク内に入ると日曜日という事もあり賑わっており、まるで別世界のような空間に、莉乃のテンションは上がっていた。
青い空の向こうに見えたお城に、たくさんのショップにアトラクション。そして楽しそうな人々。
久しぶりのその世界に莉乃は足を止めた。
「どれから行く?」
ポンと肩を叩かれ、振り返るとにこやかに笑った香織と目が合った。
「弘樹さんは?行きたい所ないの?」
「ほとんど来たことないから分からないんだって」
「じゃあ、まずはいつものコースでいく?」
フフッと笑った莉乃に、何度か一緒に来ていた二人はお互い笑顔でパンフレットを覗いた。
「楽しそうだなぁ」
弘樹は誠に向かって笑いながら言うと、二人を少し離れた所から眺めた。
「そうだな」
誠も莉乃の無邪気な姿を初めて見て、会社での莉乃との違いに驚きを隠せなかった。
「莉乃ちゃん、めちゃめちゃキレイじゃん」
誠は認める事もなんとなくできず、返事をすることができなかった。
「弘樹くん、決まったよ!行こう!」
香織が弘樹に笑顔で声をかけると、弘樹はそんな誠をチラッと見ると香織の所へ戻って行った。