副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そんな莉乃を誠はじろっと睨むと、軽く息を吐いて言葉を続けた。
「映画……最後に見に行ったのは高校の時かな……」
誠の少し遠い目に、「そんなに前なの?」と莉乃は驚いた表情を向けると、
「そうだな」
昔を懐かしむように言った誠に、莉乃は少し誠の事を知りたい気持ちが沸き上がり疑問を投げかけた。
「誠って……大学はアメリカって本当?」
「そう。アメリカ」
誠の変わらない表情を見て、莉乃は言葉をつづけた。
「行きたかったの?」
「行きたかった……かと聞かれるとどうだろうな?あの頃はそれが当たり前って思ってたし、親父の会社の為に俺ができるのは専門知識を学ぶことだって思ってたから」
「そうなんですね……」
あまりにも真面目な答えに、女遊びばかりしていたと勝手に想像していた莉乃は、罪悪感からか敬語になってしまった。
(本当にあまりにもいつもと副社長と違いすぎて、調子が狂うよ……)
そこまで会話したところで、ポップコーンを買う順番が来て莉乃はホッとした。
莉乃は迷わずケース入りのポップコーンを注文すると、ウキウキしてポップコーンをケースに詰める様子に目を向けた。
さっき写真に収まったキャラクターのポップコーンケースを見て誠は、
「この中にポップコーン入れるのか?」
と興味津々で同じようにその様子を見ていた。