副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そんな莉乃を誠は笑顔で見つめると、ポンと莉乃の頭に触れると周りを見渡した。

「ほら莉乃、次どこ行くんだ?というか、弘樹達とはぐれたな……」

「そういえば……。電話してみる?」

「まあ、そのうち会うだろ?それより、ポップコーン」
「はい。どうぞ」
莉乃は首から下がっていたケースの頭の後ろをぱかっと開けて、誠の方に向けて満面の笑みを見せた。

「あははは……!」
急に笑い出した誠に唖然として莉乃は誠を見つめた。
「どうしたの?」
「頭の後ろから……出てくるって……かなり……シュールだよ……な!」
まだ笑いながら、誠はケースの頭の中に手を入れた。

「確かにね……」
莉乃も言われてみればとそうかなと思い、まだ笑っている誠をただ見ていた。


(こんな風に笑うんだ……)

「あっ、うまい!ほら、莉乃も」
そう言って誠は、ポカンとした莉乃の口に、ポップコーンを一つ入れると笑顔を向けた。

(何……これ。こんな付き合ってるみたいな副社長……)

自分に向けられた自然な笑顔にドキドキする心臓をなんとか抑えようと、莉乃はポップコーンを咀嚼することに全神経を傾けた。
「……でしょ、あたしは1番このキャラメルのフレーバーが好き」
なんとか莉乃はそう答えると、そんな莉乃に全く気付いていないようで「いろいろ味あるんだ?」と誠は更に笑顔を向けた。

「うん、塩とかいろいろね」
莉乃は屈託なく笑う誠に、少しホッとした。
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