副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

軽く揺すられる感覚と、自分を呼ぶ声に莉乃はゆっくりと目を開いた。
「ごめんなさい！本当に寝ちゃって……」
申し訳なさそうに言った莉乃に、誠は笑顔を向けると、
「別に気にするな。そんな事。それより家どこだ？」

「え？」
聞き返した莉乃に、弘樹が言葉を続けた。

「二人とも家まで送るよ」

「そんなの悪いから大丈夫だよ。今日はありがとうございました」
莉乃の言葉に香織も、
「あたしたちの家まったく反対だから、帰るの遅くなっちゃう」

「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
二人はそろって頭を下げると、車を降りようとした。

そして、香織は後ろを振り返ると小声で莉乃に問いかけた。
「うち泊まる？大丈夫？」
その言葉に、誠は怪訝な表情を浮かべた後、すぐに弘樹に声を掛けた。
「先に俺の家に行って」


「了解」
弘樹はそう言うと誠の家に向かって走り出した。