副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

無防備すぎるだろ!

金曜日の夕方になり、莉乃は少し落ち着かず時計を見た。

「水川さん、一緒にでる?俺、先方の連絡待ちだからもう少しかかる」
今日は、誠が家に来る日だ。

時間はまだ18時。社内にはたくさんの人がまだ残っており、その中には夏川もいることを思い出し、

「まだ早いので、電車で先に帰ってます」
「わかった。終わったら連絡する」
誠も時計を見て、まだこの時間は人も多いし大丈夫だろうと、莉乃を見た。

「はい。お先に失礼します」

電車に揺られ家につくと、さすがに今日は日課通りにシャワーというわけにも行かず、ただ、このままの姿で誠を家に入れるのも抵抗があった。

(あまりやり過ぎるとなんか張り切ってるみたいだよね……)


莉乃は少しラフな格好に着替えると、髪を下ろしゆるくアップにすると、ほとんどノーメークだった為、少し化粧をした。



そしてエプロンをすると、下ごしらえをしてあった夕食の準備を始めた。

(こんなことをすると、なんかわざわざこの為に呼んだ?と勘違いされる?)
莉乃はいろいろな葛藤があったが、あまりまともな物を食べてない誠の健康面が気になっていた。

(秘書として、副社長の健康管理も仕事だよね……)

莉乃はそう自分に言い聞かせながら手を進めた。

メニューはいろいろ悩んだが、こないだ和食だったことと、ある程度仕込めるという理由で今日は洋食にした。

好き嫌いもわからなかった為、はじめに行ったBARで食べていた、トマトとモツッアレラのカプレーゼ、ビーフシチュー、パンかご飯、キノコと野菜のマリネ。
昨日焼いておいたキッシュも冷蔵庫に入れてあった。
ほとんど、用意はしてあったが、

(パソコンを見てもらってからかな。終わったらすぐに帰っちゃうかもしれないしね……)

莉乃の中に不安が広がり、テーブルに準備しようと思ったが手を止めた。
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