副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「すごいマンションだな」
あくまで平静を装い、誠は夜景を見ながら言った。

「副社長のマンションに比べたら狭いですよ」

「嫌、お前お嬢?うちの給料じゃ絶対無理だろ?」

「副社長が言わないでください。お給料あげてくれます?」
フフッと莉乃も笑うと誠に向き合った。

「スーツの上着預かりますね」
誠の脱いだスーツを莉乃は預かると、玄関横のクローゼットにかけると、またリビングへと戻った。

「……マンションのセキュリティもすごいな」
言われるだろうと思っていたが、莉乃は苦笑いをすると少し肩をすくめた。

「それで、このマンションにしたんです」
莉乃の態度と引き込まれる瞳が少し曇った気がして、誠はそれ以上口を開くことをやめた。

「パソコンは?」
「こっちです」
というと、莉乃は仕切られていた扉を開け放し、リビングと一続きにした。
そしてその奥のデスクや本棚の場所に案内した。

デスクの上には、デスクトップのパソコンと、ノートパソコン。
その横には天井まで備え付けられた、本棚にびっしりとならんだ経済の本。

誠はしばらくその光景を見ていた。

「すごいな……」
しばらく誠は本を見ていたが、椅子に座ると聞いた。
「起動していい?」
「はい」
莉乃も横に来るとその様子を眺めた。

誠は、手早く、2台のパソコンを移動すると唖然として莉乃の顔を見た。

「お前……これ。なんだ?すごいな」
あふれ出る専門的な内容に誠は目を見張った。
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