「ごめんね」
言い訳

そして土曜日。

「ごめ〜んっ!まった⁇」
待ち合わせ場所のカフェに着くと
大地くんはもう来ていた。
「今来たとこ」

2人でカフェにはいる。

「いらっしゃいませ。」
窓際の席に案内され向かい合って座る。

「俺、コーヒー」

「あっ…じゃあ私は…んーと…えっと…」
アイスカフェモカも美味しそうだし、メロンソーダも美味しそう…。
早くしないと…。

「わ、私もコーヒー…で…。」
飲めないのに…。ゆうがくんなら頼んでくれたのにな…。会いたいな…。


「コーヒー飲めるんだ」

「う…うん…。」

ポン♪

「あ、LINEだ…。見ていい?」
大地くんは頷く。

開くとゆうがくんだった。

《なにしとる?》

大地くんに会ってる…とは言えないな。
サプライズにしたいし…。

《カフェでお茶してるよ!》

「コーヒーになります」
店員さんが持って来てくれた。

「…で、何?」
大地くんはコーヒーを飲みながら聞いた。

「あ、私…ゆうがくんと付き合ってるんだけど
バレンタインにあげるお菓子とかわかんなくて…。それで大地くんに聞いたらわかるかなって思って…」

大地くんは窓の外を見ながら言った。

「あいつ〜なんだっけな」

「おっ、思い出して‼︎」
私はコーヒーのカップをもったままお願いする。

「…… 飲まないの?」
ギクッ。

「あ…う、うん。まだ、いい」

「あ、そうだあいつシュークリームだったわ」
シュークリーム…⁉︎⁈ゆうがってかわいい。

「あはっゆうが女の子見たい!」
「そうか?」
「うんうん でも確かにカップケーキとかも好きだったなぁ〜」
「そうだよな 甘いもの好きだよな」

かわいいよ、ゆうが〜。楽しみにしてて!
料理は得意だか…

「何…してんだよ」

低い声が聞こえる。聞いたことあるような。

私は声のする方を見た。
そこにはゆうがが立っていた。

どうしてもサプライズにしてたくて私は言い訳をした。

今考えたら素直に言えばよかった。

「ちがうの…っゆうが、これは…っ」

「なんで2人であってんだよ…」
ゆうがは拳を握りしめている。大地くんを巻き込んでしまう...迷惑かけたらダメだよね。

「私が誘ったの…!大地くんは悪くな…」

「言い訳なんか聞きたくない!」
ゆうがに怒鳴られたのは初めてだっので目に涙がたまる。

大地くんは泣いている私を見て
「ゆうが、こいつはなぁ…」
「やだっ!やめて……!」
サプライズが台無しになっちゃう!
私は大地くんの口を押さえる。

「そうかよ…もういい」

ゆうがは行ってしまった。ゆうがのあんな顔初めて見た。
違うのに…。
涙が溢れてくる。やだ、ゆうが…。
ごめんなさい、ごめんなさい…。離れていかないで...

「なんで、言わないの?」

「…サプライズ…した、かっ…」

バレンタインのサプライズだったのに。
ゆうが怒ってるよね…。

「ごめんなさい、大地く、…。今日は、もういい…。」


大地くんはお金だけ置いて帰っていった。
私もカフェを出た。

ゆうがに電話をかける。
「おかけになった電話番号は…。」
留守番電話に接続され、録音を残す。

「…あ…」
なんて言ったらいいのかわかんなくて。

「あの…ゆうが、ごめんなさい」とだけしか言えなかった。


こんなことになるならサプライズなんて…。
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