「ごめんね」
手紙


「ゆうが。すみれちゃんが来てくれたわよ」
母さんが俺の部屋に来た。

すみれが、きた?東京から?俺に会いに?

俺は立ち上がろうとして ふ、とあの日のことが頭に浮かんだ。

……。俺がいない間 あーやって2人であってたのかよ…。俺は…。

「……会いたくない」

自然と言葉が出た。俺もびっくりした。だけど本当に会いたくないんだ…。顔を見たくない。辛くなる。

「…どうして、せっかく来てくれたんだか…」
「うるさいな!」

俺は母さんに怒鳴った。
かあさんは何にも知らないくせに…。

母さんは驚いてたけど「そう、わかった」と言って行ってしまった。

俺だって…。久しぶりに会いたかった。辛くなる。会ったら、辛くなるだけだ。今までこんなことなかった。すみれが、浮気…するなんてこと。クラブだって言うのは嘘だったのかよ。




しばらくして母さんが袋を手に持って部屋に来た。

「これ すみれちゃんからよ」と言って机に袋を置いた。そしてすぐに出て言った。

俺は何も言わなかった。そんなことして許されると思ってるのかよ。会いに来ただけで…。

…………………………。


俺は袋の中をのぞいた。中には箱が入っていた。箱の中を覗くと、中にはシュークリームが入っていた。


…俺、シュークリーム好きなの隠してたよな?すみれ…、知ってた?

いや、知らないはず…。俺は恥ずかしいから隠して来た。
偶然か?

俺は一つ、シュークリームを口の中に入れた。柔らかくて甘かった。

他には…、と思って袋の中を見ると綺麗にラッピングされた包みが入ってた。リボンを解いて開けるとセーターが入っていた。俺の好きな青色の。

後は、手紙。
封筒を開けて便箋をだす。

〈ゆうがへ

バレンタインおめでとう!いつもお疲れ様。


あの日 言い訳してごめんね。すぐに言えなくてごめんなさい。

大地くんと会ってたのはゆうがの好きなお菓子を聞くためです。勘違いさせてごめんなさい。嘘をついたのは、サプライズにしたかったから。いらなかったら捨てちゃってね!〉



俺、が勘違いしてた…。





俺は家を飛び出した。
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