雨の日、綺麗に咲く花は
四段目に足をかけようとした瞬間、
「ーーあっ…」
不安定だった脚立がいきなり傾いた。
ーーー倒れるっ…!!
そう思いギュッと目を瞑ってしまった私。けれどそんな私にその後想像していた衝撃が訪れることは無かった。
「大丈夫ですか?」
ゆっくり目を開けた私。その視線の先に居たのは、あの名門校の制服を身に纏い、こちらを心配そうに見上げる男の子だった。
一見女の子かと見間違うほど綺麗なその子。色素の薄い髪の毛は昔友達が飼っていたゴールデンレトリバーを思い起こさせた。
けれど脚立を掴むその手はれっきとした男の子のもので、そのギャップに何故かドギマギしてしまう。
何だか見てはいけない物を見てしまったかのような、変な気持ちになった。
「あの…?」
「ごめんなさいっ…」
「大丈夫ですか…?」
「ええ、ありがとう」
漸くホッとしたような表情を見せたその子は、その後私が降りるまで脚立を支えてくれた。