雨の日、綺麗に咲く花は
これはきっと誘われているのだと、こういうことに疎い私でもさすがに分かった。

何か理由をつけて断ろうとしたのに、いつの間にそこに居たのか田辺くんが横から入って来た。


「花さん、お昼行ってきて下さいよ」

「ちょっと田辺くん、」

「これは俺が引き継ぎますから。早く早く」

「……でも、」

「いいから。せっかく誘ってもらったのに行かなきゃ悪いですよ。ね?」


田辺くんが男の子に向けてそう言うと、彼は小さく頷いた。

それを見てしまったらもう断るに断れなくて。


「……あと、お願いね」

「任せて下さいっ」

「……」


何がそんなに嬉しいのか、元気よく返事をする田辺くんと、安心したように笑う彼を見て”まぁいいか”と思う。

お昼を一緒に食べるだけなのだから、
変に意識することでも無かったのかも知れない。


「じゃあ、あそこで」

「はい…」


玄関を指してハニカム彼に、私は頷いた。
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