雨の日、綺麗に咲く花は
学校の敷地内にあるこの図書館は、食堂から少し離れた場所にあるため、私はいつも持ってきたお弁当を外のベンチに座って食べるのが日課のようなものだった。

今日も鞄の中にそれがあるのだけれど、言い出すタイミングを逃してしまった今、彼の後をついて歩くことしか出来ない。


「あの、何処へ向かってるの?」

「あ、すみません何も言わなくて。この近くに美味しい定食屋があるんです」

「定食屋…?」

「はい。知る人ぞ知るっていう感じの古いお店で、誰かに会う心配が無いのでいつも一人で通ってるんです」

「そんな場所を私に教えても良いの?」

「それはっ、…貴方なら、誰かに言いふらしたりしないと思って…」

「……それもそうね」


確かに私にはそれを言いふらすような相手が居ない。
すぐに納得した私を見て、どこかホッとしたように笑った彼は、遠くを指さして声を上げた。


「あれです。あの青いのれんが掛かってる」

「確かに、少し古いような…」

「でも味は保証します」


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