雨の日、綺麗に咲く花は
夫が私に一目惚れをしたのは会社に入ってすぐのことだった。
同期入社の夫とはすぐに意気投合し、付き合うまでの期間も早かった。
社内恋愛は難しいと言われていたけれど私達に倦怠期が訪れることはなく、二年の交際を経て結婚。
それを機に寿退社をした私は、子どもは出来なかったけれど、それなりに夫婦の幸せを感じていた。
早くに両親を亡くした私は彼だけが唯一の家族で、
何もかも、これからだった…。
一緒に歳を重ねておじいちゃんおばあちゃんになっても手を繫いで歩けると思っていたのに。
どうして彼は死んでしまったんだろう。
どうして私を残して一人で逝ってしまったんだろう。
どうして、どうして、どうして…。
毎日その繰り返しだった。
途方も無いブラックホールに墜ちてしまったみたいに私の未来は真っ暗で、この先どうなるかなんてまるで分からなくて。
ただ、今日を生きるのに必死だった。