雨の日、綺麗に咲く花は


「花さん、おはようございます」

「田辺くん、どうしたの?」


翌朝図書館の裏口から入った私は、いつもはもっと遅いはずの田辺くんが私よりも先に来ていたことに驚きの声を上げた。

どうゆう風の吹き回しだろう。

目の前で笑う彼は、今年大学を卒業したばかりの新人だ。
新人といっても彼の場合は他とは少し違って、最初から此処の人達に馴染んでいた。

普通はもっと恐縮したり緊張したりするものだと思う。

私だって最初はそうだった。
それなのに彼はすぐに皆と仲良くなって、今ではムードメーカー的存在にまでなっている。

きっと生まれ持った才能なのだろう。

そういうところは本当に羨ましい。


「そういう言い方は止めて下さいよー。俺だって早く来ることもありますよ」

「そうかなぁ」

「花さん、酷いっす…」

「ふふ、ごめんごめん。でも本当に何かあったんじゃないの?」




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