雨の日、綺麗に咲く花は
正直田辺くんが訳もなく早く来るとは思えないので遠慮がちにそう聞くと、彼はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに胸を張った。
その姿に思わず苦笑する。
もういい大人だというのに、そういう所はまだまだ子どもだ。
「実は…、」
「うん、何?」
「……彼女が出来ました!!」
「良かったね」
「はい、良かった、…ってそれだけ?!」
「ん?」
「……何でもないです。花さんに期待した俺がバカだったんです」
「え?どうして?」
あからさまに落胆する田辺くんを見て、また間違えたのかと不安になる。
昔から人との会話が苦手で上手な受け答えが出来ないのがコンプレックスだった私は、自分では良しと思って言った言葉が相手の求めていた答えじゃないこともよくあった。
その所為で中学生の頃に軽いイジメにあったこともある。
少しずつ改善できてはいるけれど、今でも油断するとこうなってしまうのだ。