僕と家族と逃げ込み家
亮は心根の優しい子だ。年老いた源さんの姿を見ているからか、特に病気やケガに対して敏感だ。

「僕も仲良くする！」

健太が元気よく手を上げる。

「で、幸助は？」

全員の目が彼に向く。

「俺は……しない」

「はぁ？」と全員が呆れ眼で幸助を見る。

「どうして？」

美山が優しく問い掛ける。

「だって、あいつ、障害者なんだろ？」

何となくその言い方、語弊があるように思うが……黙って聞くことにする。

「母ちゃんが、健常者も障害者も同じ位置に立つ人間だから特別扱いしちゃいけないって言ってた」

ヘッ？　何だ、その深いイイ話は！

「だから変だろ？　今日、メチャ喧嘩したのにいきなり仲良くしたら」

「なるほど」と笹口がポンと手を打ち、「道理だ」と感心する。

「仲良くするって、友達になるってことだろ？」
「まぁ、そうだな」

頷くと幸助は「だから」と瞳を輝かせる。

「もっと喧嘩して、それからあいつの友達になってやる」

かなり上から目線だが……潔いほど気持ちのいい奴だ。

「ああ、じゃあ、幸助、お前は喧嘩友達から始めろ」

「ラジャー！」と敬礼のようなポーズを取り、幸助は添え合わせのコーンバターを食べ始める。

その顔がちょっとだけ大人びて見え、顔が綻ぶ。
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