僕と家族と逃げ込み家
そんなの分かってる。でも、亮を放ってはおけない。
「――母さんがダメなら、叔父さんとトヨ子ちゃんの養子にしてもらう!」
「あんた……ムチャ振りするねぇ。あの二人、新婚さんだよ」
母の呆れ眼が僕を見る。
「まっ、せいぜい頑張んなさい」
ヒラヒラと手を振り、またキーを叩き始める。
クソッ! 何だ、その馬鹿にしたような態度! 今に見ていろとリビングを出て行く。
そして、行き着く先はいつもと同じ『逃げ込み家』……なのだが、何だ、この満員御礼状態は?
普段、二・三組しかいない店内が大賑わいだ。
その上、なぜか厨房側にトヨ子ちゃんがいる。
ボー然と突っ立っていると、「春太、いいところに来た。さっさと手伝え」と叔父の声が呼ぶが、今日は別にバイトに来たわけじゃない。
しかし、見兼ねて、早速手伝う。
そして、ひと段落着いたところで店内を見回しながら、「どうしたの?」とようやくトヨ子ちゃんに訊けた。
「私が来た時にはこの状態だったんですが、どうやら、商店街でロケが行われるようです」
トヨ子ちゃんも僕と同じくいきなり手伝わされたようだった。
「――母さんがダメなら、叔父さんとトヨ子ちゃんの養子にしてもらう!」
「あんた……ムチャ振りするねぇ。あの二人、新婚さんだよ」
母の呆れ眼が僕を見る。
「まっ、せいぜい頑張んなさい」
ヒラヒラと手を振り、またキーを叩き始める。
クソッ! 何だ、その馬鹿にしたような態度! 今に見ていろとリビングを出て行く。
そして、行き着く先はいつもと同じ『逃げ込み家』……なのだが、何だ、この満員御礼状態は?
普段、二・三組しかいない店内が大賑わいだ。
その上、なぜか厨房側にトヨ子ちゃんがいる。
ボー然と突っ立っていると、「春太、いいところに来た。さっさと手伝え」と叔父の声が呼ぶが、今日は別にバイトに来たわけじゃない。
しかし、見兼ねて、早速手伝う。
そして、ひと段落着いたところで店内を見回しながら、「どうしたの?」とようやくトヨ子ちゃんに訊けた。
「私が来た時にはこの状態だったんですが、どうやら、商店街でロケが行われるようです」
トヨ子ちゃんも僕と同じくいきなり手伝わされたようだった。