僕と家族と逃げ込み家
§ 「さよなら」じゃなく「またな」
空港のデッキから、少し霞んだ空を見上げたのは春休みに入ってすぐだった。
「亮、またなぁぁぁ!」
「亮、元気でなぁぁぁ!」
幸助と健太が顔をグチャグチャにしながらデッキの最奥で叫んでいる。
その横で、二胡と茜も涙ぐみながら手を振る。
そんな子どもたちの姿を、母、叔父、トヨ子ちゃん、喜子さんが見守る。
「あーあ、行っちゃったね」
どんどん小さくなる飛行機を見つめ、隣に立つ恵が言う。
別れはいつも淋しく胸が詰まる。
それを悟られないように応える。
「ああ、行ったな」
それにしても、あの夏の日から何とまぁ、いろいろあったことか!
思い出すだけで、どっと疲れが出る。
まず、亮のアメリカ行きがいよいよ決定した時、他の塾生にどう伝えるか亮と一緒に悩んだ。
結局、伝えられたのは旅立つ一か月前だったが……。
『兄ちゃんになるって言ってたのにぃぃ!』
いやいや、それはお前が勝手に言っていただけだろうとは言わず、大泣きする幸助と貰い泣きする二胡を宥めたり、ズンと落ち込む健太を励ましたり、本当に大変だった。
「亮、またなぁぁぁ!」
「亮、元気でなぁぁぁ!」
幸助と健太が顔をグチャグチャにしながらデッキの最奥で叫んでいる。
その横で、二胡と茜も涙ぐみながら手を振る。
そんな子どもたちの姿を、母、叔父、トヨ子ちゃん、喜子さんが見守る。
「あーあ、行っちゃったね」
どんどん小さくなる飛行機を見つめ、隣に立つ恵が言う。
別れはいつも淋しく胸が詰まる。
それを悟られないように応える。
「ああ、行ったな」
それにしても、あの夏の日から何とまぁ、いろいろあったことか!
思い出すだけで、どっと疲れが出る。
まず、亮のアメリカ行きがいよいよ決定した時、他の塾生にどう伝えるか亮と一緒に悩んだ。
結局、伝えられたのは旅立つ一か月前だったが……。
『兄ちゃんになるって言ってたのにぃぃ!』
いやいや、それはお前が勝手に言っていただけだろうとは言わず、大泣きする幸助と貰い泣きする二胡を宥めたり、ズンと落ち込む健太を励ましたり、本当に大変だった。