僕と家族と逃げ込み家
『亮、俺達もアメリカに会いに行くから。向こうで会おう』

トヨ子ちゃんと叔父の結婚式は六月。でも新婚旅行は延期になった。なぜなら、トヨ子ちゃんのお腹に赤ちゃんがいるからだ。これも、お別れ会の日に分かったことだ。

『うん、赤ちゃんと三人で絶対に来てね!』

だから、新婚旅行は生まれてから行くことになったらしい。

トヨ子ちゃんは最初、『ウエディングドレスが……』って拗ねていたけど……叔父に『聖母マリア様みたいだよ』と言われて元気になった。

そして、今は……と視線を二人に移す。

「トヨ子ちゃん、冷えるといけないから、もう中に入ろう」
「守さん、さっき見たたい焼き買っていい?」
「悪阻が収まってよかったなぁ、よし、買いに行こう」

甘々のラブラブで見ているこっちが照れ臭い。

「あーっ、ずるい! 俺もたい焼き食べたい」
「二胡も!」

二人の話が聞こえたのか、子どもたちもフードコートに飛んで行く。
何があっても、子どもたちは明るく元気だ。

「私たちも冷えちゃったし、お汁粉でも食べない?」

母と喜子さんも子供たちの後に続く。
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