僕と家族と逃げ込み家
「それにパパとママだって、健太がいなくなったら泣きます。ううん、哀しくて死んじゃう。そんなの絶対……やだ!」

とうとう我慢できなくなったのか、茜の目からポロポロ涙が零れ出す。

「だ、そうだ。どうする? 岡崎弟」

笹口が健太を鋭く見る。

「ウヘッ、怖っ! それやり過ぎだろ」
「本当、容赦ないね」

美山と二人、何となく笹口の思いが分かった僕たちは、視線を交わし溜息を零す。その時だ。

「おっおっお姉ちゃんを泣かすな!」

果敢にも? 健太は茜の腕に守られながら上ずった声で怒鳴る。
カッコイイんだか悪いんだか? 緊迫した雰囲気だが妙に笑える。

「だったら、もう二度とあんなこと言うな! お前は要らない子なんかじゃない。家族に大切にされている存在だ。分かったな。返事は!」

笹口の言葉に健太はビビりながら「はい」と返事をする。
そして、この雰囲気の中で空気を全く読まない輩が一人。

「なぁ、春太、バーベキュー、俺もやりたい」

幸助が僕を見上げながら言う。

「亮もしたいよな」

そして、いつものように亮を強引に仲間に引き入れようとする。

「だったら、塾主催でバーベキューしようっか?」

美山がフフフと綺麗に笑う。
そして、その言葉に「よし! やろう」と決定を下したのは、なぜか叔父だった。
< 41 / 198 >

この作品をシェア

pagetop