僕と家族と逃げ込み家
だが、美山は至極真面目に母と会話をする。

「……そんなものですか?」
「そんなものなのよ」

内外共に美しい奴だ。

「もう、最高!」

打って変わって、こちらは何だ?
物凄く高いテンションの声が山々に反響して木霊になる。

「このハンバーグ、すごく、すっごく、すごーく美味しいです」

声の方を見るとトヨ子ちゃんが湯気を上げるハンバーグに舌鼓を打っている。

「余ったらハンバーガーにするつもりでバンズも持ってきたのよ」

「ほら」と喜子さんは町で人気の『ミラクルベーカリー』の袋を持ち上げる。

「何て卒のない。流石『お福』の女将さん!」

トヨ子ちゃんの食欲は底なしだ。まだ食べるのか?

「……あのぉ、幸助ママ。僕もハンバーガー貰ってもいい?」

もじもじしながら健太が言う。
あいつも普段以上に食べているぞ。腹壊さないか?

「いいわよ。あっ、そうか。パパとママのお土産にするのね?」
「うん!」

なるほど、そういうことか。
ご両親の思い、ちゃんと伝わったみたいだ。

満面の笑みで答える健太に、喜子さんもトヨ子ちゃんも笑みを浮かべる。

バーベキューに来て、本当によかった。
皆の笑顔を見ながら、心からそう思った。
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